爪白癬
爪白癬(つめはくせん)は、白癬菌という「カビ」の仲間が爪の中にすみついたために起こる感染症です。
多くは足白癬(水虫)を治療せずに放置したために、白癬菌が足の皮膚から爪の中に移りすんだために起きています。
症状は、爪が白くにごる、黄褐色になる、分厚くなるなどで、かゆみや痛みがないので、爪の異常に気付いていても、治療せずに放っておかれる場合が多くみられます
常にまわりに白癬菌がばらまかれているので、自分自身の水虫を治しにくくしてしまったり、家族や友人など身近にいる人にうつしてしまう可能性が高いのです。
診断は?
爪が白くにごっていたり変形したとしても、爪白癬とは限りません。尋常性乾癬・扁平苔癬などの皮膚病に伴う爪病変や、マニキュア・ペディキュアの除光液、靴による圧迫などが原因となる事もしばしばあります。
見た目だけでは分からない事が多いため、爪を少し削って顕微鏡で確認の検査をします。
特に痛みも無く、10分ほどで結果が出ます。当院では実際に菌をモニターでお見せする事もできます。
治療は?
白癬の治療には、抗真菌薬(こうしんきんやく)という薬が使われます。この抗真菌薬には、飲み薬と塗り薬があって、足白癬(水虫)の場合は塗り薬で治療するのが一般的です。
しかし、爪白癬の場合は硬い爪に外側から薬を塗っても、爪の中にいる白癬菌にまで薬の効果がとどきません。
→そこで、飲み薬で体の中から治療するという方法がとられています。
爪の治療はなんといっても「根気」が大切です。爪白癬は爪の伸びに伴って治っていくものですから、抗真菌薬を飲み始めても、すぐに効果が現れるというものではありません。
従来の飲み薬では手の爪で半年、足の爪で1年ほど飲み続ける必要がありましたが、最近の飲み薬では、かなり服用期間が短縮され、3〜6カ月間服用すれば1年後には約8割の方が完治します。
飲み薬の注意点は?
どのようなお薬でも、目的の効果以外に望ましくない作用(副作用)がでる可能性があります。
抗真菌薬の場合は、主な副作用として、胃部不快感、下痢、悪心、腹痛など、消化器の症状があげられます。
また、少数ながら肝機能に影響が認められる方や、貧血などの症状を訴える方もいらっしゃいます。
爪白癬の治療は比較的長期にわたることもあり、予想される副作用を未然に防いだり、早期に発見するために薬を飲み始める前や飲んでいる間、定期的に血液検査を実施します(月に1回)
。
爪白癬の治療に用いる抗真菌薬といわゆる飲み合わせの悪い薬(薬物相互作用の生じる薬)については医師がきちんと判断しますが、複数の医院から薬をもらっている場合や服用している市販の薬がある場合には、「この薬を飲んでいます」とお申し出下さい。
万一、副作用が疑われる場合は服用を中止したり、他の薬に変更するなどの対処法がとられますので、ご心配な場合はすぐ医師にご相談ください。
薬の種類
現在良く使用されている薬としては、テルビナフィン ・ イトラコナゾールという2種類の薬があります。
テルビナフィンは通常一日1回1錠で約6ヶ月内服を継続します。
イトラコナゾールはパルス療法で使用する事が多く、一日2回(朝4カプセル・夜4カプセル・計8カプセル)内服します。
1週間内服を継続し、3週間内服休止が1クール。これを3クール行います。
他に飲んでいる薬との飲み合わせや、血液検査等によりどちらを使用するか決定します。
当院では特に問題の無い方には、どちらを飲むか患者様のご希望により選択していただいています。
医師に一任していただいても結構ですし、院内にポスターや分かり易い小冊子もありますので、遠慮なくおっしゃって下さい。
薬の値段
水虫の飲み薬に保険はきくのですか?という質問をたまにいただきます。
もちろん使えるのですが、元々の値段が高いため、3割負担でも窓口での負担額が1ヶ月あたり
4千円〜1万3千円程度(薬を上記のどちらを使うかによって差が出ます)かかります。
よく効く薬なのですが、値段が高いのが一番の欠点ですね。
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